噛み合わせが浅いとは?その特徴と症状
噛み合わせが浅いという状態は、専門的には「オープンバイト」や「開咬(かいこう)」と呼ばれることがあります。この状態では、上下の歯がしっかりと噛み合わず、歯と歯の間に隙間ができてしまいます。その特徴や症状について、確認しましょう。

噛み合わせが浅い状態の特徴
噛み合わせが浅い状態には、以下の特徴があります。
1.前歯部分で隙間がある: 上下の前歯を閉じたときに、前歯同士が接触せず、隙間ができる状態です。前歯がうまく使えず、ものが噛み切れないなどの症状があります。
2.奥歯だけで噛む: 前歯が噛み合わないため、奥歯のみで食べ物を噛むことが増えます。
3.「サ行」や「タ行」などの特定の発音が不明瞭: 前歯の隙間から空気が漏れやすく、特定の発音がしづらくなることがあります。
4.食べ物が口から漏れる: 前歯で食べ物をうまく噛み切れず、食事の際に食べ物が口から出てしまうことがあります。
当院に来院される患者様からは、「サンドイッチを前歯でかじると、レタスがうまく切れずについてきてしまう」「おにぎりを前歯でかじると、海苔が切れずに丸ごとついてきてしまう」といった悩みをよく聞きます。
噛み合わせが浅いことによる症状と影響
噛み合わせが浅い状態が続くと、さまざまな問題が生じる可能性があります。
1.奥歯への過度な負担: 前歯で噛むべき食べ物も奥歯で噛むため、奥歯に過度な負担がかかります。
2.顎関節への負担: 不自然な噛み方が顎関節に負担をかけ、顎関節症の原因になることがあります。
3.歯の摩耗: 噛み合わせのバランスが悪いため、特定の歯が過度に摩耗することがあります。
4.咀嚼効率の低下: 効率よく食べ物を噛み砕くことができず、細かく噛み砕けなかった食べ物によって消化不良になることもあります。
5.審美的な問題: 笑ったときに前歯の隙間が見えることで、見た目に対する自信が低下することがあります。
6.舌の位置が下がる: 舌の位置が変わることによって、歯に干渉し別の歯の乱れを併発する可能性があります。さらに、舌骨の位置が変わることもあり、その場合顎の位置が不安定となり、顎関節症を発症する恐れがあります。
7.口呼吸: 虫歯や歯周病が発症しやすくなり、口臭が悪くなる場合もあります。
これらの症状は、1人ひとりの状態や程度によって異なります。軽度であれば日常生活にほとんど支障がないケースもありますが、重度になると食事や会話に大きな影響を及ぼすケースもあります。
噛み合わせが浅くなる原因とは?
噛み合わせが浅くなる原因はさまざまです。年齢や生活習慣、遺伝的要因など、複数の要素が関わっていることがあります。主な原因を見ていきましょう。
成長発育期の要因
子どもの頃の習慣や成長過程が、噛み合わせに影響することがあります。
1.指しゃぶりの習慣: 長期間の指しゃぶりは、前歯が前に押し出される原因になり、噛み合わせが浅くなることがあります。
2.舌を前に出す癖(舌突出癖): 無意識に舌を前に出す癖がある場合、前歯が前方に押され、噛み合わせが浅くなることがあります。
3.口呼吸: 鼻ではなく主に口で呼吸する習慣がある場合、顎の発達に影響を与え、噛み合わせが浅くなる可能性があります。
当院では、お子様の定期検診の際に、これらの習慣や癖がないかチェックし、早期の対応を心がけています。
遺伝的・先天的要因
生まれつきの要因も噛み合わせに影響する場合があります。
1.顎の骨格的な問題: 顎の形や大きさの不均衡が、噛み合わせの浅さの原因になることがあります。
2.歯の先天的な位置異常: 歯が正常な位置から外れて生えることで、噛み合わせに影響する場合があります。
3.遺伝的要因: 同様の噛み合わせの問題がある家族がいる場合、遺伝の影響も考えられます。
噛み合わせを改善するための治療方法
噛み合わせが浅い状態は、適切な治療によって改善できる可能性があります。症状の程度や原因に応じて、さまざまな治療法があります。

矯正治療による改善
歯列矯正は、噛み合わせが浅い状態を改善するために、一般的な治療方法です。
1.ワイヤー矯正(ブラケット矯正): 歯の表面にブラケットを装着し、ワイヤーを通して歯を適切な位置に動かします。
2.マウスピース型矯正装置(インビザライン): 透明なマウスピース型の装置を使用する目立ちにくい矯正法です。
特に成長期のお子様の場合、早期の矯正治療が効果的です。大人の場合でも、矯正治療によって噛み合わせの改善が可能ですが、お子様と比べて治療期間が長くなる場合もあります。
これらの治療は比較的取り入れやすく、症状の緩和や進行防止に役立ちます。当院へお気軽にご相談ください。
噛み合わせを改善するためのセルフケアと予防法
専門的な治療とともに、日常生活でのセルフケアも噛み合わせの問題の予防や改善に役立ちます。
正しい口腔習慣の確立
良い習慣を身につけることで、噛み合わせの問題を予防しましょう。
1.歯をバランスの良く使って食事する: 左右前後の歯をバランスよく使って、食べ物を噛むよう心がけましょう。
2.正しい舌の位置: 舌は上顎の前方部分(口蓋前方)につけるのが正しい位置です。気づいた時に位置を確認し、正しい位置を意識しましょう。
3.鼻呼吸の習慣化: 口呼吸ではなく、鼻呼吸を意識的に行いましょう。
4.姿勢の改善: 猫背などの悪い姿勢は顎の位置にも影響を及ぼします。正しい姿勢を心がけましょう。
ストレス管理と歯ぎしり対策
ストレスは歯ぎしりにつながる事が多く、噛み合わせに大きく影響します。以下のような歯ぎしり対策も有効です。
1.リラクゼーション: ストレスを軽減するため、適切な休息や自分に合ったリラクゼーション法を取り入れましょう。
2.就寝前のルーティン: 就寝前にリラックスする時間を設けて習慣とし、寝ている間の歯ぎしりを減らしましょう。
3.マウスピースの使用: 歯科医師に相談して、必要に応じてマウスピース(ナイトガード)を使用しましょう。
定期的な歯科検診の重要性
噛み合わせ治療には、早期発見・早期治療が重要です。
1.定期検診: 少なくとも、半年に1回は歯科検診を受けましょう。
2.専門的な評価: 噛み合わせに不安がある場合は、噛み合わせの専門医による詳細な検査を受けることをお勧めします。
3.早期介入: 特にお子様の場合、早期に問題を発見し対処することで、将来的な噛み合わせの問題を予防できます。
当院では、噛み合わせに特化した検診も行っております。専門的な視点から噛み合わせの状態を評価し、必要に応じて適切な治療をご提案しています。
食生活の改善
毎日の食生活も、噛み合わせに影響します。
1.よく噛む習慣: 普段からたくさん噛むことを意識し、顎の筋肉を使いましょう。食べ物の消化を助け、脳の満腹中枢を刺激します。肥満防止の作用や、リラックス効果にもつながります。
2.硬い食べ物の摂取: 適度に硬い食べ物を取り入れ、顎の成長発達を促しましょう。
3.栄養バランスの良い食事: カルシウムやビタミンDなど、骨や歯の健康に必要な栄養素を摂取しましょう。
まとめ
噛み合わせが浅い状態は、単に歯の問題だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。食事の楽しみや会話のしやすさ、さらには頭痛や肩こりなどの体の不調にも関連することがあります。
浜松町歯科・矯正治療院および松木歯科医院では、患者様1人ひとりの噛み合わせの状態を詳細に分析し、最適な治療計画をご提案しています。噛み合わせに不安や違和感がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
早期発見・早期治療が、より効果的な改善につながります。特にお子様の場合は、成長に合わせた適切な治療が大切。健康な噛み合わせは、健康な生活の基盤です。日常的なケアと定期的な専門的チェックで、生涯にわたって健康な口腔環境を維持しましょう。何か不安や疑問があれば、いつでも当院にご相談ください。