ワイヤー矯正治療中の虫歯を防ぐ！

歯科矯正装置が歯の清掃を難しくする

ブラケットやワイヤーなどの矯正装置は、歯の表面に装着されることで、歯磨きがしづらい環境を作り出します。
特に、以下のような問題が生じることがあります。

・清掃困難な部位の増加: ブラケットの周りやワイヤーの下部は、通常の歯ブラシが届きにくくなります。
・食べ物が引っかかりやすい: 矯正装置自体に凹凸があるため、食べ物のカスを引っかけやすい構造になっています。そのため、食後は口内に食べ物が残りやすくなります。
・プラークの蓄積: 通常の歯磨きや歯ブラシだと、歯の表面や装置の周りにプラーク（歯垢）が蓄積しやすくなります。

プラーク（歯垢）と虫歯の関係

プラーク（歯垢）には細菌が多く、食事で摂取した糖分を酸に変える働きをします。この酸が歯のエナメル質を溶かし、虫歯の原因となります。つまり、矯正装置周辺にプラークが溜まりやすいということは、虫歯リスクが高まるということです。
特に注意が必要なのは、以下の部位です。

・ブラケット周囲の歯の表面（エナメル質）
・ワイヤーと歯の間の隙間
・歯と歯の間の隙間

唾液の自浄作用が低下

通常、唾液には口内を洗い流し、酸を中和する働きがあります。しかし、矯正装置があると唾液の流れが妨げられ、この自浄作用が低下する場合があります。特に装置の裏側や凹みには唾液が行き届きにくく、酸の中和が不十分になりがちです。

治療中の食習慣の変化

歯科矯正治療が始まると、痛みを避けるために柔らかい食べ物を選ぶなど、食習慣が変わるケースがあります。炭水化物を多く含む柔らかい食べ物は、糖分が多くなる場合が多く、細菌の働きを活性化させ虫歯リスクを高める可能性があります。
また、ジュースなどの糖分の多い飲み物を頻繁に摂取すると、より虫歯リスクが高まります。

正しいブラッシング方法

矯正装置があっても、歯磨きの基本は変わりません。ただし、いつもより丁寧に行い、さらに工夫が必要です。

基本のブラッシング

1.ブラケット上部: まず歯ブラシを45度の角度で当て、ブラケットの上から歯と歯茎の境目をきれいにします。
2.ブラケット下部: 次に歯ブラシを逆さまにして、ブラケットの下部を同様に磨きます。
3.ブラケット周囲: ブラケット周囲を小さな円を描くように磨きます。
4.歯と歯の間: ブラシの毛先を歯間に当てるようにして磨きます。

浜松町歯科・矯正治療院および松木歯科医院では、矯正治療を始める患者様に対して、丁寧なブラッシング指導を行っています。最初は時間がかかりますが、慣れてくると効率的に磨けるようになる方がほとんどです。

特に以下の部位は、磨き残しが起こりやすいので注意しましょう。

・ブラケットのすぐ横のエナメル質
・奥歯の噛み合わせ面
・歯と歯茎の境目
・装置の隙間や凹み

食後すぐのケアの重要性

歯科矯正中は、食後すぐに口内をきれいにすることが非常に重要です。

・できるだけ食後30分以内に歯磨きをする
・外出先などですぐに歯磨きができない場合は、水でうがいをする
・携帯用の歯間ブラシやフロスを持ち歩く

フッ素配合の歯磨き粉の使用

フッ素には歯のエナメル質を強化し、酸に対する抵抗力を高める働きがあります。歯科矯正中は、特にフッ素配合の歯磨き粉を使用することをお勧めします。

食事に関する注意点

歯科矯正中も、バランスの良い食事を心がけることが大切です。特に以下の点に注意しましょう。

・糖分の摂取を控える
・硬いものや粘着性の高い食べ物は避ける
・飲み物は水や無糖のお茶を選ぶ
・間食の頻度を減らす

歯科矯正用歯ブラシの特徴・使い方

歯科矯正装置に対応した、専用の歯ブラシがあります。これらは通常の歯ブラシとどう異なり、以下のような特徴があります。

・山型・U字型のブラシ: 中央が凸凹した形状で、ブラケットの形に合わせて効率的に磨けます。
・柔らかめの毛: 歯や歯茎、矯正装置を傷つけにくい柔らかめの毛を使用しています。
・小さめのヘッド: 細部までアクセスしやすい小さめのヘッドが特徴です。

使い方のポイントは、力を入れすぎずに、小刻みに動かしながら丁寧に磨くことです。1回の歯磨きに3分以上かけられると良いでしょう。

歯間ブラシの必要性・使い方

歯間ブラシは、歯科矯正中の虫歯予防に欠かせないアイテムです。以下のように使い、口内を磨きます。

1.ワイヤーと歯の間に優しく挿入する
2.歯と歯の間、ブラケットの周囲を丁寧に清掃する
3.使用後は水でよくすすぎ、乾燥させる

フロススレッダーの必要性・使い方

フロスは歯間の清掃に効果的ですが、歯科矯正中は通常のフロスは使いにくいことがあります。そこで役立つのがフロススレッダーや矯正用フロスです。フロススレッダーとは、フロスを口内に入れにくい時に使うワイヤーのようなもので、お裁縫のときに使う糸通しのように使います。使い方は簡単で、以下のように使用します。

1.フロスをフロススレッダーに通す
2.フロススレッダーをワイヤーの下に通し、フロスを歯間に入れる
3.フロスを歯の表面に沿わせて上下に動かす

また、矯正用フロスやスーパーフロスなど、ワイヤー矯正治療中でも使える口腔ケア製品もあるため、上記を活用しながら虫歯予防をすることが大切です。

フッ素洗口剤の使用

フッ素洗口剤は、歯磨き後に使用することで歯のエナメル質を強化する効果があります。記載の量を口に含み、30秒程度すすいだ後、吐き出すだけです。掃除ができなかった部分まで洗浄できるので、歯磨きの仕上げにも最適です。

定期的な歯科検診の重要性

歯科矯正治療中は、矯正器具の調整に加えて、虫歯や歯周病のチェックも必要です。矯正器具の調整は4〜6週間に1回程度行われ、虫歯や歯周病のチェックも都度行われます。定期的な歯科検診では、どんな小さな気になることもお気軽にご相談ください。必要に応じて詳細な検査や歯のクリーニングもご提案します。

プロフェッショナルクリーニングの必要性

自宅でのケアだけでは落としきれないプラークや歯石は、浜松町歯科・矯正治療院および松木歯科医院などでのプロフェッショナルクリーニングで除去することができます。歯科矯正中だからこそ、定期的なクリーニングが大切です。

クリーニングのメリット

1.磨き残しやすい部位の徹底的な清掃
2.歯石の除去
3.歯面の研磨による新たなプラークの付着予防

初期虫歯の早期発見と治療

定期的な検診では、肉眼では見つけにくい初期の虫歯も発見することができます。早期発見することによって、痛みや不快感が少なく、最小限の治療で済む可能性があります。また、進行した虫歯になると、歯科矯正治療を一時中断する必要も出てきます。そうならないためにも定期的な検診を受けましょう。